吉田さん575やるってば

五七五好きの吉田さんが何かするブログです。

句集 オホーツクスカイブルー

愛情とは厄介だ。憎しみと隣合わせだ。
北海道オホーツクに産まれた私は、ありふれた少年のように都会へ出ていくことを夢見ていた。

ここを出たら何か違う世界が待っているんじゃないだろうか。
ここを出たら『本当の自分』に出会えるんじゃないだろうか。

人生は紆余曲折し、曲がりくねっていて気がつけばオホーツクの地を出ないまま時が過ぎていた。

日本なのにカタカナ表記のオホーツク。
冬は寒くて夏は暑いオホーツク。

中二の頃の外へ出ていきたい思いを抱えながら、このオホーツクのどこまでも続くような青空を愛していた。

 

~春~

春めきて青よりブルーっぽい空

啓蟄の背伸びは少しよく伸びる

冴え返る真昼間の椎名林檎

花冷えの色で選んだグリンティー

春の空可愛さこそが君の罪

源流は猫のあくびの春の風

死ぬことは何時でも出来て光る風

春一番甘味の薄い角砂糖

モダンタイムス借りて帰れば淡雪

別れこそ格好つけて風光る

飽き果てた街はモノクロ春の虹

俳句の才能恐らく無くて春の雷

この街の子守唄ごと流氷鳴る

春の風邪治る頃には終わる恋

国道に並ぶ眼光春の鹿

星降って雪虫生まる北の国

ソーシャルディスタンス雪虫を払う

白球は真っ直ぐ空へライラック

~夏~

夏きざす青空町の青い空

薄暑あり大きく笑うおじさんよ

涼しさを恐れ百年オホーツク

夏の朝ひもの緩んだスニーカー

恋だもの虹の一つは出るだろう

薫風を肺に満たして走る朝

愚痴なのか惚気話かソーダ

空色のサイダー時計を見る君

ロシアから来た風流す扇風機

雲の影がゆっくり過ぎる貸しボート

汗拭うとき空はいつも青色

蜻蛉生まる空の数だけ飛ぶように

トマトを齧る吾の中の野生の血

国道に玉葱一つオホーツク

秋近し隣の居ないジャズの夜

~秋~

秋の虹へ自転車をこぐ坂をこぐ

秋高し新発売の缶コーヒー

美男子は秋時雨を浴びて生まる

道にななかまど鞄に参考書

大地の神が踊り蒸かし芋の香

~冬~

街は冬晴れ初めて馬券を買う

拳銃握り眠る子へ冬夕焼け

氷柱が伸びて小さき星が一つ消え

初氷一人密かにケンケンパ

外套被る空を割る如き風

窓に冬木立ポッキーほろ苦い

恋人の行き交う街に水洟の吾

踏切の音が響いて聖誕夜

雪を搔く時の止まりを搔く如く

息白しどうやら我は生きている

この山の枯れ葉踏むしんがりは猫

 

 

朝、昼、夕、春、夏、秋、冬。

空が色を変えていくように、自分のオホーツクへの思いは変わっていく。

オホーツクの青空はいつも突き抜けるように真っ青だが、それを見つめる私は変わり続けるのだ。

これらの俳句の著作権は当然ながら私の物とし、複写等は遠慮していただきたい。

 

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