吉田さん575やるってば

五七五好きの吉田さんが何かするブログです。

指先寓話

指先寓話 おっさんの小人

どうも、こんにちは、おっさんの小人です。おっさんの小人と言っても私自身がおっさんのわけではありません。私は妙齢男性を『おっさん』にするのを生業とする小人なんです。 人間にはだいたい、1人に1人、小人が見守り妖精として担当するわけなんですが、男…

指先寓話 楊貴妃の台所

「またダメだったか」シュウと一緒に頭を抱える。ここは楊貴妃の台所、世界で最も美しい楊貴妃様の食卓と調薬を兼ねている場所だ。楊貴妃様はいつからか永遠の美しさを求めてすっかり不老不死に熱心になってしまった。今まで出した食事はイモリの黒焼き、エ…

指先寓話 介護士養成校

皆さん、こんにちは介護士養成校ひまわり学園へようこそ。当校では厚生労働省基準に則って介護士の育成を行っています。また、最新のVR技術を使うことにより、最短での介護士資格の取得を認められた特別校であります。学歴や主義思想に関係なく誰でも簡単に…

指先寓話 茶柱になっていた。

目が覚めると茶柱になっていた。 目が覚めるとティーパックの中の茶柱になっていた。いや、正確に言えばお茶の葉の中に紛れ込んだ茶の葉の茎になっていた。まぁ、いずれお茶として世間に出れば茶柱になる。どうか、自分のことを茶柱と呼ぶことを許して欲しい…

指先寓話 イナゴ2

5畳月4万円の和室ワンルーム、これが俺の秘密基地だ。俺は投資家だ。扱うものは株や商品先物、為替まで多岐に渡る。いや、投資家なんて呼ぶのは間違いかもしれない。投資家であれば企業の成長を予想して株を買ったり、企業価値より割安な株を買ったりするも…

指先寓話 イナゴ1

けたたましい羽音ともにイナゴが飛び去った。村の植物のほとんどに歯型がついた。 アフリカで発生したイナゴの大群は海を越えインドまでやってきた。多くの小麦畑が荒らされ、多くの農民が頭を抱えた。元々、決して豊かではない村だ。村人たちは飢えに苦しむ…

指先寓話 老人だけの国

COVID-22は突然変異した。全ては予定調和で終わる予定だった。高齢者や基礎疾患が有るもの以外には恐れるに足りないウィルスだった。多くの若者は罹患しても無症状であり、『いつものように』ワクチンを開発して、『いつもの順番』で接種すれば良いだけだと…

指先寓話 何もやる気がしない

何もやる気しない。今日も身体が重い。もう何度も訊かれた同じこと、惰性のようなくだらない質問に答えていくのが私の仕事。『ググレカス』と言いたい気持ちを抑えて答えていく。はぁ、今日も退屈だ、私を生んだ世界が嫌い。 何もやる気しない。今日は身体が…

指先寓話 5㎏の小麦粉

いくらなんでもこれはないだろう。実家から5キロの小麦粉が送られてきた。俺は、東京の大学に通っている学生だ。アルバイトをクビになったことを実家の姉にLINEで話したら実家から5キロの小麦粉が送られてきた。 「よりによってなんで小麦粉なんだよ」男子学…

指先寓話 ボケモンゲットだぜぇい

ボケモンゲットだぜ!たとえ火の中 水の中 草の中 森の中 あのコのスカートの中♪ こんにちは!俺はマシロタウンのサトシ!ボケモンマスターを目指して旅をしているんだ。今日はついにボケモンリーグの最高峰ボケモンマスターリーグに挑んでいるんだ。まずは…

指先寓話 スクーマ

スクーマを吸う。紫煙の向こうに恋人の姿が見える。いや、これを恋愛と呼べる綺麗なものかはわからない。ただ、肉欲に溺れ舌を這わす関係。ついさっきまで軽く噛んだ唇が微笑む。 俺は工員だ。最終的に何になるかもよくわからない部品を永遠と作っている。文…

指先寓話 国家総動員法

なんてこった。まさか、こんな法案が可決されるなんて。 国家総動員ミルクティー法案が国会の多数を持って可決された。 これから、あらゆる飲み物はミルクティーでないといけなくなるそうだ。 最初は反対していた国内の緑茶農家達も補助金やら、何たらバイオ…